苗栗｜湖畔花時間 自然の恵みと温泉と 湖畔で過ごす至福のひと時
午後の柔らかな光を浴びる山肌を望みながら、車を走らせて坂を上っていく。民宿「湖畔花時間」は苗栗県大湖の山間にある。湖畔に佇み、周りの景色に溶け込んだその姿はまるで一枚の絵のように静かで美しい。
大自然のおもてなしを心ゆくまで
車から降りて砂が敷かれた道を行くと、湖のそばに建てられたその民宿を見つけ、思わずハッとする。生い茂る木々と広大な湖に囲まれた木造の大きな建物。周りには季節の花々が彩りを添え、蝶が優しい風に乗って舞い踊っている。ここでは大自然がすでに旅のスケジュールを整えてくれているかのようだ。
温かい日差しを浴びながら湖のほとりを歩いていると、四季折々の景色が歓迎してくれる。初春にはフジや桜、春の終わりならアブラギリ、秋が深まったころには色めく紅葉という具合だ。部屋の窓ガラスを開けてベランダに出れば、日の光に当たってはきらきらと光る湖が望める。夜は満天の星空の下で温泉に浸かろう。夏の夜にはホタルに出会えるかもしれない。ここでは365日、昼夜問わず美しい景色が楽しめるのだ。
景色とごちそうと、極上の温泉
ここでは景色の美しさだけでなく、現地の食材を使った美食と自家製のお酒が味わえる。イチゴと鶏肉のオーブン焼きやドイツの伝統料理である骨付き豚の煮込みは一押しだ。朝の湖を望みながら、中華式の朝食をたっぷりいただくのもまた良い。アツアツの饅頭には牛乳の味がたっぷりしみ込んでいて絶品。自家製の甘い葡萄酒や柑橘系の香りが広がるワインをいただけることもあるというからうれしい。
「美人湯」と呼ばれる炭酸水素塩泉の温泉も特色の一つだ。化学配合物などは一切含まれていない源泉かけ流し。部屋の蛇口から出る水まで温泉を使っているというこだわりようだ。大浴場では大小様々なお風呂が用意されていて、違った温泉を楽しむことができる。水温を調節できるお風呂まであり、新鮮な体験が満喫できるだろう。
夢に見た理想の一木一草をここに
民宿「湖畔花時間」は芸術を愛する林さんと料理・園芸好きの蔡さんが営む。二人は同じ理想を持つ友人同士。林さんはもともと仕事をリタイヤした後、民宿を経営したいと考えていたが、数年前に病気を患い予定より早くその時期を迎えた。蔡さんを誘い、共に新たな夢への第一歩を踏み出した。林さんが内装デザインを、蔡さんが園芸や料理周りをそれぞれ担当。もともと交わることのなかった芸術家と専業主婦だった二人はこうして理想の民宿を築き上げた。
時間ができたら、ぜひこの湖のほとりで至極のひと時を過ごしてほしい。素晴らしい温泉、山の稜線と湖が織りなす大自然の景色、そして二人が共に築いた一木一草を心ゆくまで味わえるはずだ。