ある特定の国立公園について理解するには、まずはその国を知ることです。そこで、雪覇国立公園についてお話しする前に、まず台湾についてお話したいと思います。
かつて麗しの島――フォルモサと呼ばれた台湾は、中国東南部沿海から約百六十キロの位置にあり、北を日本、南をフィリピンと隣接する東アジア列島の一つです。
土地面積は36,000平方キロメートルで、オランダと同等の大きさ、米国マサチューセッツ州とコネチカット州よりもやや大きな島です。島の四分の三が山脈であるため、大部分の土地は勾配が激しく耕作に向きません。3,000メートル級の高山が200座あり、最高峰は3,952メートルの玉山です。
台湾の土地は主に亜熱帯気候に属し、雨が多く、年平均降雨量は2,540ミリメートルに達します。
台湾の人口は現在2,300万人で、主流を占める漢民族のほか、約30万人の原住民族がいます。原住民族の祖先は南洋諸島から渡ってきたもので、南島語文化を有しています。
ほとんどが平地に居住しているため人口密度が高く、また、人口も急速に増加しています。台湾はわずか数十年の間に農業社会から工業社会へと変貌しました。気候が温暖で雨が多く、壮麗な高山がそびえ、緑したたる美しい国土を持つ台湾は、豊かな自然資源に恵まれ、古来、万物の生態と共存してきました。しかし、このような自然のバランスも今、二つの脅威に晒されています。一つは、傾斜が急な山岳地帯に大量の雨が降ると、森林の保全が困難となり、土壌と水が容易に流失してしまうことです。
もう一つは、人口の急速な増加により自然生態が脅かされ、子孫の生存問題に影響を及ぼしていることです。このため、国立公園の設立は政府の最重要課題となっています。工業発展の侵蝕を受けない国立公園を保持し、人々に野外レジャーの場を提供するほか、園内で野生動植物を保育する重要性をビジターに理解し協力してもらうよう導くのが、急速に発展している国家にとって特に重要なことです。
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