苗栗|樹也Villa木々に囲まれた静けさの中で自然と共に呼吸を
深い緑色をした池の水面がかすかに揺れると、その表面に美しい木の陰が映る様子が頭に浮かぶ。目を閉じ、体を吹き抜けていく山の風を感じる。鉄道橋の美しき遺構、龍騰断橋を通り過ぎ、苗栗三義に続く山道で車を走らせる。民宿「樹也Villa」にたどり着くと、花の香りが漂ってきた。一匹のハトが大空に向かって羽ばたく。奥の方に隠れている木製のドアを開けば、とっておきの休暇の始まりだ。ここでは、大自然と呼吸を共にし、木々に囲まれた生活の素晴らしさを体験できる。
山の中で自然と共にのんびりと休暇を
アヤメが植えられた屋根の下、ツタが建物の四方を覆っている。おしゃれなツリーハウスを思わせるその外観は、山あいの地で自然と共に建てられた秘境の地そのものだ。大きな窓ガラスがあるロビーに入ったら、まずはコーヒーを一杯。窓際のソファーに腰かけ、雑誌や本のページをめくりながら、外の景色を楽しむ。ここでゆっくりと流れる時間を感じよう。
屋外の階段に沿って進んでいくと、生い茂ったクスノキがプールの上に影を作っているのが見えた。風が吹けば、木々が軽く揺れ、水面に映る影も一緒に揺らめく。デッキチェアに横たわりながら、水と戯れる恋人を眺める。鳥たちはあなたの心のように自由に歌声を響かせるはずだ。
太陽、樹、川、月から生まれた4つの心地よい空間
山の斜面に沿って造られ、木々と共存している4つの二人部屋。どの客室もシンプルで、品の良さを感じさせる。客室「樹泉」では、部屋の中のガラスで仕切られた空間に植えられた3本のクスノキが光に向かって真っすぐ伸びている。まるで時間の流れがゆっくりになったかのようだ。もう少し近づいてみると、外の竹林や小川が心を落ち着かせるリズムを奏でているのが分かる。服を脱いで、コの字型の廊下や緑に包まれたベランダを抜け、広々とした浴室へ。窓の外には美しい景色が広がっている。「晴川」の客室では、断橋の跡が望める。小川の流れる音に耳を澄ませながら、自然の静けさを堪能しよう。「初日」では、天井から床まで続く大きな窓をレースのカーテンが覆っている。柔らかな日の光が射し込み、天蓋付きのベッドが優しい休暇を与えてくれるだろう。浴室へは青空を映すガラス張りの通路を通って行こう。「酔月」は、美しい星空と豊かな緑の風景が楽しめる。
台湾のおいしさを味わう創作料理の饗宴
一泊二食付きの樹也Villaでは、現地の食材を使った創作料理を堪能できる。さぁ、夜は2階のレストランへ。開放式キッチンでは、シェフたちが真剣な様子で調理している様子が見られる。爽やかな口当たりの前菜に豊富なサラダ、そしてアーティスティックな創作料理の数々。最後に香ばしいステーキと澎湖の高級魚、スジアラのメインをいただく。翌日の朝食に出てきたのは、野菜が入った温かいお粥に、地元農家から仕入れた食材で作られたおかずだ。素朴な味がまた、素材そのものの味を引き立てている。
民宿の英語名「Chooart」は、この土地の魅力と地元の人情味を伝えようと、樹を意味する台湾語「チュー」から名付けられた。経営チームがエコロジカルな建築と自然との共存を堅持し続けたかいあって、民宿は2017年、建築界のオスカーともいわれる「全球卓越建設賞」で賞を受賞。木を植えながら、建物を造り、その過程で美しいバランスを見つけたのだ。「当たり前のことなんて決して多くない。だけど、僕たちは自然に任せることを学ばなきゃならないんだ」執行長のBrianさんは言う。彼の大地への畏敬の念はチームメンバーにも深く根付いている。ここでは仕事能力ももちろん大事だが、最も重視されるのは態度だ。大自然に学びながら、一人一人の旅人と真摯に接している。
ここを発つ前に、ロビーのお茶の先生とお茶を飲みながら話を交わそう。一杯のお茶で自分の心を落ち着かせる。香りの詰まったおもてなしの誠意を心にしまいながら、森に包まれた素晴らしさの余韻に浸ろう。